月震で埋没氷を検出、地震波の速度2〜3倍
月震による地震波が、月面下に隠れた水氷を明らかにできる可能性があることが、2026年7月31日付の『Science Advances』に掲載された研究で示された。メリーランド大学、ローレンス・バークレー国立研究所、ハワイ大学の科学者らが主導したこの研究は、地面を伝わる振動が氷の存在と量を示す可能性があり、将来の月面ミッションにとって極めて重要だと示唆している。
NASAのアルテミス計画は2028年に月の南極地域への有人ミッションを計画しており、そこには永久影のクレーターに水氷が存在する可能性がある。この氷は、宇宙飛行士にとって飲料水、酸素、ロケット燃料を提供し、地球からの物資輸送の必要性を減らす。UMD准教授で研究共著者のニコラス・シュマー氏は、「宇宙飛行士が現地で利用できる月面上の物質を特定することは極めて重要だ」と述べた。
この研究が重要なのは、現在の衛星機器は表土の氷しか検出できないが、氷の多くはより深く埋まっている可能性があるためだ。地震計測は地表下を探査でき、氷は土壌を硬くするため、波は乾燥した土壌を伝わるより2〜3倍速く伝わる。氷に富む領域は地震エネルギーを反射し、地震計が検出できる反響を生み出す。シュマー氏は「地震波を使って氷の存在だけでなく、おおよその量も把握できる」と説明した。
研究者らは3つの方法でこれを検証した。主著者でローレンス・バークレー国立研究所の岩石物理学者ハリソン・リザベス氏は、月の塵に似た砕いた火山岩を凍らせ、X線で氷の形成を観察した。ハワイ大学のマシュー・シーグラー氏は南極の温度をモデル化し、数十億年にわたり氷を保存できるほど低温のクレーターを特定した。シュマー氏は氷堆積物を通る月震のコンピューターシミュレーションを実施した。すべてのアプローチで、氷による明確な地震学的変化が示された。
ミッション支援に加え、月の氷は初期太陽系の手がかりを保持する可能性がある。シュマー氏は、約40億年前の月の古代岩石が、水がどのようにもたらされ、地球の海洋がどのように形成されたかを明らかにする氷を保存しているかもしれないと指摘した。この研究は米国エネルギー省とNASAの資金提供を受けた。
中国の嫦娥7号ミッションは2026年末にシャクルトン・クレーター付近へ着陸予定で、氷の堆積が疑われる場所の近くに地震計を搭載する。2028年には、NASAのアルテミス宇宙飛行士が、シュマー氏が開発に貢献した月環境監視ステーションを展開する可能性がある。シュマー氏は「我々の発見は、今後数年で得られる観測の基礎を築いている」と述べた。
情報源
- ScienceDaily二次情報源
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