オレキシン神経が意欲維持に必須と判明、名古屋大
名古屋大学の研究チームは、課題が難しくなるにつれて意欲を維持する脳内メカニズムを特定した。2026年8月5日付の米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された研究で、オレキシン神経が意欲的な行動の維持に重要な役割を果たすことを示した。
この発見は、意欲の低下がみられるうつ病や依存症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの理解に影響を与える。医学系研究科の溝口博之准教授と山田清文名誉教授が率いる研究チームは、睡眠や食欲、エネルギー消費も調節するオレキシン神経に着目した。
これまで、意欲の困難の背後にある脳のプロセスは完全には解明されていなかった。今回の研究は、脳が報酬の期待と必要な努力を結びつける潜在的なメカニズムを提供し、意欲障害への対処の新たな標的を示す。
研究チームは、遺伝子改変した「オレキシン-Cre」ラットを用い、ケモジェネティクスと光遺伝学でオレキシン神経を操作した。漸進比率テストでは、オレキシン神経を活性化したラットはより高いブレークポイントに達し、食物報酬を得るための意欲が高まった。逆に、オレキシン神経を変性させたラットはブレークポイントが低く、意欲の低下を示した。ファイバーフォトメトリーでは、オレキシン神経の活動が報酬の期待中に上昇し、報酬の受け取り後に低下したが、期待した報酬が得られない場合は高いままで、努力の要求が大きくなるとさらに強まった。
これまでの研究でオレキシン神経が意欲に影響することが示唆されていたが、その具体的な役割は不明だった。従来の研究はマウスが中心だったが、ラットは複雑な課題に対する学習能力が高い。新しいラットモデルは、これらの神経を標的とする技術的な課題を克服した。光遺伝学によるオレキシン神経の抑制は意欲行動を減らしたが、活性化は意欲をさらに高めなかった。これは、オレキシン神経が意欲の維持に必要だが、正常以上の意欲を高めるには十分ではないことを示唆している。
研究チームは今後、オレキシン神経と連絡する脳回路を調べる予定だ。理解が深まれば、意欲障害の治療への新たなアプローチにつながる可能性がある。この研究は、日本学術振興会の科研費(22K19749、23K27360、23H02669)や、先端医療振興財団、AMED(JP21wm0425014)などの助成を受けた。
情報源
- ScienceDaily二次情報源
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